容赦なき慈悲 【ヴァナ・ディールの世界観 3】
The Vision of Vana'Diel #3
Cure
マンティコアの鍵爪が、
ヒュームの戦士ルーディの腕を引き裂いた。
白魔道士として積んだ長年の経験が、
正確に彼の傷の深さを診断する。
上腕部裂傷、そして出血。
すぐに右手に力が入らなくなり、
武器は握れなくなるだろう。
だが、傍らで膝をつく騎士シャルモーニュはもっと深刻だ。
盾を持つ左手前腕部の骨にはひびが入り、
肋骨は折れてまともに呼吸も出来ていない。
私は印を切り、ゆっくりと両手を広げ、
癒しの呪文を唱え始めた。
Cure
マンティコアの鍵爪が、
ヒュームの戦士ルーディの腕を引き裂いた。
白魔道士として積んだ長年の経験が、
正確に彼の傷の深さを診断する。
上腕部裂傷、そして出血。
すぐに右手に力が入らなくなり、
武器は握れなくなるだろう。
だが、傍らで膝をつく騎士シャルモーニュはもっと深刻だ。
盾を持つ左手前腕部の骨にはひびが入り、
肋骨は折れてまともに呼吸も出来ていない。
私は印を切り、ゆっくりと両手を広げ、
癒しの呪文を唱え始めた。
その光は、意識の奥からやってくる。
すべてを癒す、清浄な輝き。
呪文と共に、私の両手にその光が宿り、
徐々にその輝きを増していく。
私が使える最大級の回復魔法。
一度に使える魔力の限界まで、光を貯め、
そして放った。
光の筋がシャルモーニュに吸い込まれていく。
経験を積んだ白魔道士は、少ない力で大きな癒しの効果を発揮する。
傷を受けた部位、治すべき器官。
そこへ正確に力を送り込む。
シャルモーニュが呻いた。
人が本来持つ癒しの力を活性化し、
折れた骨をつなげ、失った血を作り出し、
そして一瞬で傷を完治させる。
だがそれは、凄まじい負担を身体にかける。
苦痛を押して、シャルモーニュは立ち上がった。
強い癒しの力は、強い憎しみを生む。
マンティコアは正面に経つルーディーを無視して、
その真円を描く獣の目で私をにらみつける。
だが、それも一瞬。
「私に背中を向けるかっ!」
騎士シャルモーニュが、裂帛の気合いを以て
ルーディの巨大な両手斧が作った傷口に
その剣を突き立てた。
空気を奮わすような咆哮。
マンティコアの眼は一瞬前まで私に
怒りを向けていた事を忘れたかのように、
殺意を持ってシャルモーニュを睨む。
私はその隙に呪文を唱え、ルーディの裂傷を完治させた。
なんと恐ろしい戦いだろう。
マンティコアの一撃は、
容易に人を物言わぬ肉塊へと変える。
ルーディーもシャルモーニュも、
ぎりぎりのところで致命傷を
受けていないというだけに過ぎない。
避けられない傷は私の回復魔法が癒す。
だが、骨が砕け、肉が裂ける苦痛は
防護の魔法を以てしてもぬぐい去る事はできない。
白き清浄な光。
慈悲深きアルタナの与える癒しの力。
国教会はそう教える。
だが、これはどうしたことか。
癒しの力があれば、人はそれを前提に戦いを仕掛ける。
背後から飛んでくる回復魔法を頼りに、
人の力を遙かに超える存在に立ち向かい、
そして激しく傷つく。
恐ろしきは人そのものなのだ。
シャルモーニュの火傷を治療し、
続いてひびの入った大腿骨に癒しの力を送る。
マンティコアの巻き上げた砂塵が
ルーディの肌に擦過傷を作るが、
戦いに影響ないと判断する。
盾となって我々を守るシャルモーニュが倒れれば、
私もルーディも一瞬で地に伏せる。
誰を癒し、どれだけの力を送るのか。
冷静に判断しなければならない。
そこに、慈悲の心はない。
敵を焼き尽くす精霊魔法よりも、
命を刈り取る暗黒騎士の一撃よりも、
仲間を死ぬ程の苦痛の前に立たせ、
倒れる事を許さない回復魔法こそが、
この世で最も残酷な魔法なのだ。
だが、時に思う。
母なるアルタナはそれすらも見通し、
それでも敢えてこの力を与えたのではないかと。
あらゆる災厄の降りかかるヴァナ・ディールで、
脆い肉体と弱い心を持った人という生き物が
何度倒れても立ち上がって生きていくために。
すべてを癒す、清浄な輝き。
呪文と共に、私の両手にその光が宿り、
徐々にその輝きを増していく。
私が使える最大級の回復魔法。
一度に使える魔力の限界まで、光を貯め、
そして放った。
光の筋がシャルモーニュに吸い込まれていく。
経験を積んだ白魔道士は、少ない力で大きな癒しの効果を発揮する。
傷を受けた部位、治すべき器官。
そこへ正確に力を送り込む。
シャルモーニュが呻いた。
人が本来持つ癒しの力を活性化し、
折れた骨をつなげ、失った血を作り出し、
そして一瞬で傷を完治させる。
だがそれは、凄まじい負担を身体にかける。
苦痛を押して、シャルモーニュは立ち上がった。
強い癒しの力は、強い憎しみを生む。
マンティコアは正面に経つルーディーを無視して、
その真円を描く獣の目で私をにらみつける。
だが、それも一瞬。
「私に背中を向けるかっ!」
騎士シャルモーニュが、裂帛の気合いを以て
ルーディの巨大な両手斧が作った傷口に
その剣を突き立てた。
空気を奮わすような咆哮。
マンティコアの眼は一瞬前まで私に
怒りを向けていた事を忘れたかのように、
殺意を持ってシャルモーニュを睨む。
私はその隙に呪文を唱え、ルーディの裂傷を完治させた。
なんと恐ろしい戦いだろう。
マンティコアの一撃は、
容易に人を物言わぬ肉塊へと変える。
ルーディーもシャルモーニュも、
ぎりぎりのところで致命傷を
受けていないというだけに過ぎない。
避けられない傷は私の回復魔法が癒す。
だが、骨が砕け、肉が裂ける苦痛は
防護の魔法を以てしてもぬぐい去る事はできない。
白き清浄な光。
慈悲深きアルタナの与える癒しの力。
国教会はそう教える。
だが、これはどうしたことか。
癒しの力があれば、人はそれを前提に戦いを仕掛ける。
背後から飛んでくる回復魔法を頼りに、
人の力を遙かに超える存在に立ち向かい、
そして激しく傷つく。
恐ろしきは人そのものなのだ。
シャルモーニュの火傷を治療し、
続いてひびの入った大腿骨に癒しの力を送る。
マンティコアの巻き上げた砂塵が
ルーディの肌に擦過傷を作るが、
戦いに影響ないと判断する。
盾となって我々を守るシャルモーニュが倒れれば、
私もルーディも一瞬で地に伏せる。
誰を癒し、どれだけの力を送るのか。
冷静に判断しなければならない。
そこに、慈悲の心はない。
敵を焼き尽くす精霊魔法よりも、
命を刈り取る暗黒騎士の一撃よりも、
仲間を死ぬ程の苦痛の前に立たせ、
倒れる事を許さない回復魔法こそが、
この世で最も残酷な魔法なのだ。
だが、時に思う。
母なるアルタナはそれすらも見通し、
それでも敢えてこの力を与えたのではないかと。
あらゆる災厄の降りかかるヴァナ・ディールで、
脆い肉体と弱い心を持った人という生き物が
何度倒れても立ち上がって生きていくために。
ケアル 白Lv1 赤Lv3 ナLv5/標的のHPを回復
ケアルII 白Lv11 赤Lv14 ナLv17/標的のHPを回復
ケアルIII 白Lv21 赤Lv26 ナLv30/標的のHPを回復
ケアルIV 白Lv41 赤Lv48 ナLv55/標的のHPを回復
ケアルV 白Lv61/標的のHPを回復
