Dhalmel in the Crystal War
オークの重い一撃を、アポロスタッフで受け流す。
先端に宝玉を頂くこの杖は、バランスが悪い。
戦い向きではない、といつも感じる。
だが、まだ私の力ではこのアポロスタッフの
助けなしにカーバンクルを永久にこの世に
とどめておくことはできない。
夜半に攻め寄せた獣人血盟軍野豹部隊との戦闘は
長時間に渡り、東の空は白み始めていた。
周囲を見回す余裕はないが、そこかしこから
戦いの音が聞こえてくる。
まだまだオークの軍団は健在らしい。
アポロスタッフをすっと正面に差し出す。
ウィンダス戦闘魔導団で教える棍術とは
まったく系統の異なるこの構えは、
当方伝来の星眼と呼ばれ、身中線を守るように
軽く前方へ差し出されたアポロスタッフは
相手の打撃を左右に受け流す。
守りだけではない。わずかでも相手の体勢が
崩れれば即座に攻撃に出られるよう、
やや前がかりに体重をかけている。
敵軍のオークは無防備にもそこへ
突っ込んできたというわけだ。
光の宝玉がオークのみぞおちにめり込む。
その瞬間、跳躍したカーバンクルの爪が
オークの背中を縦に切り裂く。
どちらも大した一撃ではない。
だが、自分よりも明らかに貧弱な
エルヴァーンの召喚士と膝までしかない
カーバンクルに前後から絶え間なく
軽い攻撃を当て続けられ、オークは明らかに
いらだっている。
オークはその丸太のような両腕を、
赤子のように振り回す。
今度は流せない。
咄嗟に突き出した棍でかろうじて受けるが、
私は背中から地面に転がる。息が詰まる。
しかしオークは私に止めを刺すに至らない。
カーバンクルがオークの膝に爪を立てる。
振り返り、カーバンクルに向かって
斧を振り上げたオークの頭を、
今度は小さな隕石が直撃する。
私はその隙に立ち上がった。
身体のあちこちが痛む。
二位一体。
過去の大戦の中で身につけたこの境地。
侍の構えは非力な召喚士の棍術を補って余る。
必殺の一撃はなくとも、徐々に蓄積するわずかな
打撃は徐々に相手の動きを抑えていく。
カーバンクルが光を放つ。
癒しの力が私と召喚獣を包む。
カーバンクルと共になら、我々は永久に戦える…!
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